「AI電話って実際どうなの?」——導入を検討するとき、一番知りたいのは仕組みの説明ではなく、すでに使っている施設がどうなったかでしょう。
この記事では、AI電話対応システムを導入した5つのホテル・旅館を取り上げます。どんなシステムを入れたのか、導入前に何に困っていたのか、そして具体的にどんな数字が出たのか——それぞれの事例を見ていきます。
なお、本記事で紹介するデータの多くはサービス提供企業のプレスリリースやケーススタディに基づいています。独立した第三者検証ではない点を踏まえたうえで、検討材料としてお読みください。
- 実名5社で電話対応50〜90%削減 ── エンゼルホテルズ、ホテル京阪、稲取東海ホテル湯苑、ナインアワーズ、奥入瀬渓流温泉。
- 全部をAIに置き換えた施設はゼロ ── 定型電話だけAIに任せ、判断が必要な電話は人に転送。
- 費用は月3〜5万円、初期費用0円のサービスもあり ── 夜勤スタッフ1人より安い。
- サービス選びで見るのは「PMS連携」と「多言語対応」の2つだけ ── それ以外は後から調整できる。
AI電話予約を導入したホテル・旅館5社の事例
ここからは、実際にAI電話対応を導入した5社の事例を紹介します。導入したシステム、導入前の課題、そして具体的な成果を見ていきましょう。
エンゼルホテルズ——AIさくらさんでAI解決率84%
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | エンゼルホテルズ |
| 導入システム | AIさくらさん(ティファナ・ドットコム) |
| 導入範囲 | 宿泊予約・イベント関連の電話対応 |
| 導入前 | 電話が大量に発生し、スタッフが対応に追われて本来の接客業務に集中できない |
| 導入後 | AI解決率84%を達成。月間約1,200分(20時間)の電話対応業務を削減 |
ティファナ・ドットコムのAI電話対応システム「AIさくらさん」を導入し、定型的な問い合わせの84%をAIが自動で解決。顧客満足度アンケートでも回答者の84%が高評価と、お客様側の体験も損なわれていません。
ホテル京阪——京都3施設でIVRy導入、電話対応の半数を自動化
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | ホテル京阪 京都グランデ / 京都八条口 / 京都駅南 |
| 導入システム | IVRy(アイブリー) |
| 導入開始 | 2022年5月〜本運用 |
| 導入前 | 24時間の電話対応と通常業務の両立が負担。採用難で人手不足、お客様を待たせることも |
| 導入後 | 各施設で電話対応の50%以上を自動化。スタッフは接客に集中、顧客満足度も向上 |
3施設同時に導入して成果が出たことで、ホテル京阪では他施設への展開も計画されています。
稲取東海ホテル湯苑——1日80件の電話応答工数を半減
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 稲取東海ホテル湯苑 |
| 導入システム | IVRy(アイブリー) |
| 導入前 | 1日80件以上の電話が営業時間に集中。繁忙期はスタッフが電話対応に取られ、館内業務が滞る |
| 導入後 | 電話応答工数を約50%削減。営業電話の対応もなくなり、スタッフは本来業務に集中 |
地方の旅館では営業電話の比率が意外と高く、その対応がなくなるだけでも体感の負担は大きく変わります。新規予約や緊急の変更はスタッフに自動転送されるため、サービス品質も維持されています。
ナインアワーズ——全国18施設で電話対応の9割をAIが完結
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | ナインアワーズ(13店舗)+ドシー等(5店舗)計18施設 |
| 導入システム | IVRy(アイブリー) |
| 運営体制 | ほぼ全店舗ワンオペレーション |
| 導入前 | ワンオペで「ほぼ電話に出られていない状況」が常態化。つながらないクレームが頻発 |
| 導入後 | 電話対応の9割をAIが完結。スタッフはフロント接客や巡回清掃に集中 |
ワンオペ運営の施設にとって、AI電話対応は「あったら便利」ではなく「なければ回らない」インフラです。18施設一括導入という規模感も、ワンオペ現場の切実さを物語っています。
奥入瀬渓流温泉 灯と楓——繁忙期の電話対応を9割削減
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 施設名 | 奥入瀬渓流温泉 灯と楓 |
| 導入システム | IVRy(アイブリー) |
| 導入のきっかけ | 全国旅行支援による問い合わせ急増 |
| 導入前 | 問い合わせが急増し、忙しい時間帯に電話が重なってお客様を待たせる状況が頻発 |
| 導入後 | 繁忙期の電話対応を9割削減。必要な電話だけスタッフが受ける体制に |
需要急増という「予測しにくいタイミング」でもAIなら即座にスケールできるのがポイントです。人を増やすには採用・研修の時間がかかりますが、AIは設定を変えるだけで対応量を増やせます。
5社の事例を比較して見えてきたこと
5社の導入事例を並べて比較すると、共通するパターンが浮かび上がります。
| 施設名 | 導入システム | 施設タイプ | 主な成果 |
|---|---|---|---|
| エンゼルホテルズ | AIさくらさん | ホテルチェーン | AI解決率84%、月間20時間削減 |
| ホテル京阪(京都3施設) | IVRy | 都市型ホテル | 電話対応50%以上を自動化 |
| 稲取東海ホテル湯苑 | IVRy | 温泉旅館 | 1日80件の応答工数50%削減 |
| ナインアワーズ(18施設) | IVRy | カプセルホテル | 電話対応の9割をAI完結 |
| 奥入瀬渓流温泉 灯と楓 | IVRy | 温泉旅館 | 繁忙期の電話対応9割削減 |
共通点①:全部をAIに置き換えていない
5社すべてに共通しているのは、電話対応の「全部」をAIに任せたわけではないことです。定型的な問い合わせ——空室確認、アクセス案内、チェックイン時間の確認——だけをAIに振り、判断が必要な電話はスタッフに転送しています。「仕分け」がAI電話導入の本質です。

共通点②:削減した時間の使い道が明確
電話が減ったことで「何をするようになったか」が、5社とも明確です。エンゼルホテルズはイベント企画、ホテル京阪は目の前の接客、稲取東海ホテルは本来業務、ナインアワーズはフロント対応と清掃。AIで時間を浮かせた先に、サービス品質の向上という具体的な成果があります。

共通点③:小さく始めて効果を確認している
大手チェーンでさえ、まず一部の施設や一部の時間帯から試しています。いきなり全館・全時間帯をAIに切り替えた事例はありません。効果を確認してから範囲を広げる——このアプローチが、AI電話導入の王道パターンになっています。

導入を検討するなら知っておきたいこと
5社の成果を見て「うちでも試してみたい」と感じた方も多いはずです。ただ、実際に動き出す前に押さえておきたいポイントがいくつかあります。費用の相場、サービス選びで見るべき点、そしてAIの限界——この3つを知っておくだけで、導入後の「思っていたのと違う」を大きく減らせます。順番に見ていきましょう。
費用感——月額3万〜5万円が相場帯
5社の事例で使われていたサービスの費用感をまとめると、月額3万〜5万円が相場帯です。夜勤スタッフ1人の人件費(月15〜20万円)より安い場合がほとんどです。IVRyのように初期費用0円・月額数万円から始められるサービスもあるため、「1ヶ月試して合わなければやめる」が現実的にできます。
上記の料金レンジは各サービスの公開情報から推定した目安です。実際の見積もりは施設規模や要件によって変動するため、必ず各社に直接確認してください。
サービス選びで確認するのは2つだけ
サービスを選ぶときに確認すべきポイントは、実は2つしかありません。
ひとつ目は、自施設の予約管理システム(PMS)と連携できるか。
PMSと繋がれば、電話口で空室確認から予約完了まで自動化できます。連携なしでも「電話を受けてフロントに引き継ぐ」使い方は可能なので、まずは連携なしで始めるのも手です。
ふたつ目は、多言語対応が必要か。
インバウンド客が多い施設なら、英語・中国語に対応したtriplaのようなサービスが候補になります。国内客中心なら後回しで問題ありません。
音声認識の限界は理解しておく
AIの音声認識は万能ではありません。方言が強いお客様、周囲が騒がしい環境からの電話、高齢のお客様のゆっくりした話し方では、認識精度が落ちることがあります。だからこそ、「AIが聞き取れなかったらフロントに転送する」フォールバック設定が重要です。5社の事例でも、すべての施設がこの仕組みを組み込んでいます。
まず無料デモで試す
「うちの規模でもできるのか」は、この記事の5社の事例が答えを出しています。大手チェーンから温泉旅館、ワンオペのカプセルホテルまで、規模を問わず成果が出ています。
次にやることはひとつだけ。無料デモを試してください。方言や早口など、自施設に実際にかかってくる電話に近い話し方でテストすれば、導入後のギャップを防げます。


