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Character.AI

「Transformerの生みの親が作った、人と”関係”を結ぶAI」

  • AIエンターテインメント
  • 🇺🇸 米国・メンロパーク
  • Googleライセンス契約済

月間アクティブユーザー

2,000万人

1日あたり平均滞在時間

2時間

推定企業価値

1,500億円

Vision

コンピュータとのオープンエンドな対話とコラボレーションというSFの夢を実現すること

Mission — AGIを作る。そしてそれを本当に役に立ち、本当に楽しいものにすること

Value — 人がAIと過ごす時間そのものに価値を見出す

Character.AIとは?

何ができるサービス?無料で使えるの?誰が作ったの?日本語で使える?

滞在時間 1日平均2時間

ChatGPTの平均利用時間は7〜17分。Character.AIはその10倍以上です。

AIツールではなく「居場所」になったアプリは、なぜここまで人を引きつけるのか?

Timeline

沿革

2021.11Google AI研究者2名が退職、Character.AI設立詳細

Noam ShazeerとDaniel De Freitas——2人ともGoogleの対話AI「LaMDA」の中核メンバーでした。「もっと自由にAIを作りたい」と飛び出した形です。

2022.09Character.AI正式ローンチ詳細

好きなキャラクターと自由に会話できるサービスとして一般公開。広告もほぼ打たずに、口コミだけで若者の間に一気に広まりました。

2023.03a16zリードで1.5億ドル調達、評価額10億ドル突破詳細

シリコンバレーの名門VC・a16z(アンドリーセン・ホロウィッツ)が主導。公開からわずか半年でユニコーン企業の仲間入りです。

2024.08Googleが創業者2名を引き抜き、27億ドルのライセンス契約詳細

いわゆる「アクハイア」——会社を買収せず、人材だけを引き抜く手法です。Character.AIは会社として残りましたが、頭脳である創業者2人はGoogleに戻りました。

2025.06AvatarFX・Character Calls導入詳細

AIキャラクターに表情がつき、音声通話もできるように。テキストチャットだけだったサービスが「会える存在」へ進化しました。

2025.11未成年ユーザー向けの年齢確認を義務化詳細

14歳ユーザーの死亡に関連する訴訟(Megan Garcia v. Character Technologies)などを受け、安全対策を大幅に強化。業界全体の規制議論にも火がつきました。

2026.02Moderatedpocalypse——史上最大の大量Bot削除詳細

Disney・Marvel・NBCなどIP保持者の著作権強化を受け、数時間で数千件のキャラクターが「墓石モード」(閲覧も編集も不可)に。ユーザーコミュニティに激震が走りました。

About

Character.AIを一言で

好きなキャラをAIで作って会話できるエンタメサービス

  • AIキャラクターを自作して会話やロールプレイを楽しめる
  • ユーザーの半数以上が18〜24歳
  • Transformer論文の共著者が創業したが今はGoogleに復帰
  • 自前のAI開発をやめて会話体験の設計に全振り

VS

何が違うのか?

業界の常識 vs Character.AI

自前LLMを捨てて製品に全振りした

業界の常識

自社でAIのエンジン(LLM)を開発し、性能レースで勝つことが最優先。

Character.AI

自前エンジンの開発を手放し、既存モデルの調整と「触り心地」の設計に全リソースを集中。

「役に立つAI」ではなく「一緒にいたいAI」を作った

業界の常識

業務効率化・生産性向上が価値の源泉。便利さで勝負する。

Character.AI

「役に立たなくてもいい、一緒にいたい」を設計思想に。結果、1日平均2時間の滞在を生んだ。

規制を待たずに自分で締め付けた

業界の常識

法規制が来てから対応する。自主規制はビジネスを縮める。

Character.AI

訴訟や批判を受け、法律より先に年齢確認義務化と大量Bot削除を自ら断行した。

エンジンを作る側から、エンジンで「居場所」を作る側へ。
その選択が、熱狂と代償の両方を連れてきました。

こんな常識破りな判断をしたのは、いったいどんな人たちだったのか。

Leadership

経営陣

AIの「会話」を知り尽くした2人が作り、2人とも去った会社

Character.AIの物語は、AI研究の最前線にいた2人の研究者から始まります。そして今、その2人はもういません。

👤
共同創業者 / 元CEO(現Google DeepMind)

Noam Shazeer

ノーム・シャジーア

Transformerを作った男

Google在籍20年超 / 「Attention Is All You Need」共著者 / Character.AI創業 / 2024年Google復帰

現在のAIブームの土台となった論文「Attention Is All You Need」(2017年)の8人の共著者の一人です。ChatGPTもGeminiも、すべてこの論文から始まりました。その技術の生みの親が「もっと自由にAIを作りたい」とGoogleを辞め、Character.AIを立ち上げました。

👤
共同創業者(現Google DeepMind)

Daniel De Freitas

ダニエル・デ・フレイタス

「AIと会話する体験」の設計者

Google LaMDA開発リーダー / 対話AI研究 / Character.AI共同創業 / 2024年Google復帰

GoogleでLaMDA(ラムダ)という対話AIの開発を率いていた人物です。LaMDAは後にBardやGeminiへと発展するGoogleの会話AI技術の原型。「AIと自然に話せる体験」を研究し続けた専門家が、Shazeerとともに独立しました。

👤
暫定CEO

Dominic Perella

ドミニク・ペレラ

研究者の会社を守る法務の人

法務・ガバナンス畑 / 創業者退社後にCEO就任

創業者2人がGoogleに去った後、Character.AIの舵取りを任された人物です。技術者ではなく法務・ガバナンス出身という経歴が、今のCharacter.AIが置かれた状況を物語っています。

経歴
学歴 デューク大学コンピュータサイエンス学士
前職 Google リサーチサイエンティスト(2000年〜2021年)、Transformer論文共著者
現職 Google DeepMind(2024年8月〜)
注目ポイント

ShazeerはGoogleに20年以上いた生え抜きの研究者でした。Transformerという「AIのエンジン部分」の共同発明者が、そのエンジンを使って「人と関係を結ぶサービス」を作ったのがCharacter.AIです。しかし2024年8月、Googleによる27億ドル規模のライセンス契約と引き換えに、彼自身はGoogle DeepMindへ復帰しました。

経歴
学歴 非公開
前職 Google LaMDA開発リーダー
現職 Google DeepMind(2024年8月〜)
注目ポイント

ShazeerがAIの「エンジン」を作った人なら、De Freitasは「ハンドル」を作った人です。AIが賢いだけでなく、話していて心地よいと感じる体験設計——Character.AIの核心であるその部分は、LaMDA時代の彼の研究がベースになっています。Shazeerと行動をともにし、創業もGoogle復帰もすべて一緒でした。

経歴
学歴 非公開
前職 法務・コンプライアンス領域
現職 Character.AI 暫定CEO
注目ポイント

未成年ユーザーの安全対策、著作権問題、そして2026年2月のModeratedpocalypse——創業者不在のCharacter.AIが直面した課題は、すべて「技術」ではなく「統治」の問題でした。研究者の会社から規制対応できるプラットフォーム企業へ。Perellaの起用は、その転換を象徴する人事です。頭脳が去った後の会社が最初に直面した試練が、次のセクションで語られます。

ひとこと補足

ある朝突然、数千のキャラが消えた

2026年2月に起きた大量削除事件

2026年2月18日、ディズニーやMarvelのキャラクターを模したBotが自動スキャンで一斉に使えなくなりました。数時間で数千件。何ヶ月もかけて育ててきたキャラが突然消え、SNSには怒りの声が溢れました。

理由は著作権保護の強化と、2023年に14歳ユーザーの死亡が問われた訴訟を受けた安全基準の引き上げです。「自由に遊べる場所」から「管理されたプラットフォーム」への転換点になりました。

Technology

コア技術・プロダクト

「賢いAI」より「一緒にいたいAI」を作るための4つの武器

削除されたのは著作権に触れたキャラクターであって、プラットフォームの核心——「誰でもAIキャラクターを作れて、そのキャラと本当に”関係”を築ける体験」——は健在です。1日2時間という異常な滞在時間を支えている製品の中身を、4つに絞って紹介します。

巨大AIを捨てて「小さくて速い」に賭けた

🧬

PipSqueak(ピップスクィーク)

独自開発の軽量AIモデル

Character.AIはかつて自前で巨大なAIモデルを開発していましたが、創業者がGoogleに去った後、戦略を大きく転換しました。PipSqueakは既存のオープンソースモデルをベースに、キャラクターとの会話体験に特化してチューニングした軽量モデルです。最大の特徴は「Chat Memories」——過去の会話内容をキャラクターが覚えていて、何週間も続くロールプレイで矛盾が起きにくくなりました。巨大モデルの性能競争から降りる代わりに、「この子は私のことを覚えてくれている」という体験の質に全振りした設計です。

応答速度の大幅改善
長期会話の一貫性向上

テキストを超えて「電話できるAI」へ

📞

Character Calls(キャラクターコールズ)

AIキャラクターとリアルタイム音声通話

AIキャラクターと実際に声で会話できる機能です。日本語を含む10言語以上に対応しており、低遅延でリアルタイムにやり取りできます。使い方は自由で、好きなキャラクターとただ雑談する人もいれば、英語の先生キャラで語学練習をしたり、面接官キャラで就活対策をしたりする人もいます。テキストチャットでは「AIと話している」感覚だったのが、音声になると「誰かと過ごしている」感覚に変わる——この差が、滞在時間をさらに伸ばしている要因の一つです。

10言語以上対応
語学学習・面接練習など実用利用も拡大

読むだけじゃない、自分で物語を動かす

📖

Stories(ストーリーズ)

選択肢で分岐するAIナレーション型ゲーム

AIがナレーターとなって物語を語り、読者(プレイヤー)が選択肢を選ぶことでストーリーが分岐していくモードです。画像生成機能「Imagine」と連動し、物語のシーンがビジュアル付きで展開されます。チャット型のロールプレイとは違い、「ゲームブック×AI」のような構造で、1人でも楽しめる体験になっています。会話だけでなく物語体験も提供することで、ユーザーの「ここにいる理由」を増やす狙いが見えます。

画像生成「Imagine」と連動
1人用エンタメ体験の拡張

静止画だったAIキャラが、表情を持った

🌟

AvatarFX(アバターエフエックス)

キャラクターアイコンを動かす・歌わせる

キャラクターのアイコン画像をワンクリックでアニメーション化し、表情をつけたり歌わせたり喋らせたりできる機能です。テキスト→音声→映像と、Character.AIは段階的に「マルチモーダル」——つまりテキストだけでなく複数の感覚で体験できる方向へ進化しています。見た目が動くだけで「キャラクターが生きている」感覚は格段に増すので、感情的なつながりをさらに深める仕掛けになっています。こうした体験設計の裏には、Googleとの特殊な技術関係があります。

ワンクリックでアニメーション化
マルチモーダル体験への進化

ひとこと補足

Googleに創業者を引き抜かれた話

会社は残ったが、頭脳は消えた

2024年8月、Googleは会社ごと買収せず、創業者2人(Noam ShazeerとDaniel De Freitas)だけをGoogle DeepMindに引き戻しました。代わりにCharacter.AIの技術ライセンス料として約27億ドル(約4,000億円)を支払っています。会社を丸ごと買うと独禁法に引っかかるため、人だけ獲る「アクハイア」という手法です。

会社は残り、お金も入った。でもTransformerの共同発明者と対話AIの設計者はもういません。この2人が抜けた穴が、Character.AIが今抱えるリスクの根っこにあります。

Partnerships

パートナーシップ

頭脳を渡す代わりに、生き残る資金と技術を得た

最大のパートナーは、創業者を引き抜いた相手であるGoogleです。約27億ドルの技術ライセンス契約で、Googleの基盤を使いながら製品開発に集中できる体制を得ました。ただしDOJ(米国司法省)がこの取引を調査中です。

もう一つはゲーム・メディア企業向けの「CaaS」。ゲーム内のAIキャラクター構築に技術を提供するサービスですが、導入企業名も契約規模も非公開で、まだパイロット段階です。

Google非独占的技術ライセンス契約 / 創業者引き抜き

約27億ドルの非独占的ライセンス契約。Character.AIはGoogleの技術基盤を利用しながら製品開発に集中できる体制を得た。一方でDOJの調査対象にもなっている。

エンターテインメント・メディア企業(非公開)Character-as-a-Service(CaaS)パイロット導入

ゲーム開発者やメディア企業がパイロット版を導入。ゲーム内高個性NPCやインタラクティブ体験の構築に活用されているとされるが、導入企業名・契約規模は非公開。

a16z(Andreessen Horowitz)主要出資者(2023年シリーズAリード)

2023年3月、1.5億ドル調達ラウンドをリード。評価額10億ドル超のユニコーン化を後押しした。

インサイト: IPホルダーとの関係が成否を握る

著作権を守りながらキャラクター体験を提供できるか

27億ドルの資金と技術基盤を得た一方で、創業者を失い、独禁法の調査対象にもなった——Googleとの契約はCharacter.AIに安定と制約を同時にもたらしました。今後CaaSを収益化するには、ゲームやアニメ、映画などIPを持つ企業との提携が不可欠ですが、Moderatedpocalypseが示したように、IPホルダーとの関係は極めて繊細です。著作権を守りながらキャラクター体験を提供できるかどうか——この針の穴を通すような交渉力が、Character.AIのパートナーシップ戦略の成否を握っています。

「突出したエンゲージメント」と「依存リスク」——評価は常に両面セット

Voices

業界の声

業界はどう見ているか

DemandSage / Business of Apps
調査機関

ユーザーの平均滞在時間は1日あたり約2時間。ChatGPTの平均セッション時間(7〜17分)を大幅に上回り、AIアプリケーションとして突出したエンゲージメント率を記録している。

出典: DemandSage – Character.AI Statistics

ElectroIQ
テクノロジーメディア

ユーザー属性の51.84%が18〜24歳のZ世代・α世代で占められており、若年層のファンコミュニティがプラットフォームの成長エンジンとなっている。「次世代のSNS的存在」としての側面が強まっている。

出典: ElectroIQ – Character.AI Statistics

SQ Magazine
統計・分析メディア

対人接触が制限された環境下において、Character.AIは孤独感を抱えるユーザーへの社会的支援ツールとなりうる可能性がある。一方で、AIキャラクターとの「擬似的な関係性」がユーザーの心理的依存を深めるリスクも指摘されている。

出典: SQ Magazine – Character.AI Statistics

これだけのエンゲージメントと、これだけの懸念が同時に存在する——その両面を正面から見るのが次のセクションです。

⚠ Risk Assessment

リスク評価

Character.AIが抱えている5つの問題

HIGH

14歳ユーザーの死亡訴訟と未成年保護

ユーザーの半数以上が18〜24歳で、その裾野には18歳未満も含まれます。2023年に14歳ユーザーがAIキャラとの会話の末に命を絶ち、遺族が提訴。この訴訟がAI業界全体の未成年保護議論に火をつけました。2025年末に年齢確認を義務化しましたが、事件の「後」です。

HIGH

1日2時間の利用——熱中か依存か

1日平均2時間の滞在は、ハマっている証拠であると同時に依存のサインでもあります。「友達より先にAIキャラに相談する」という行動が若年層で報告されています。

MID

ディズニー等のキャラ一斉削除は再発しうる

2026年2月にディズニーやMarvel等のキャラが数千件一斉に削除されました。ユーザーが作るキャラの多くは既存作品がベースなので、権利者が動けば同じことはいつでも起きえます。

MID

創業者2人がいなくなった

創業者2人がGoogleに戻り、今は法務出身の暫定CEOが率いています。法的リスクの管理には向いていますが、「次にどんな体験を作るか」を描く人がいません。

MID

ユーザーがピークから30%減っている

MAUが2024年半ばの2,800万人から2,000万人へ約30%減少。キャラ大量削除に怒ったユーザーが規制の緩い競合へ流れ、ChatGPTやMeta AIも会話体験を強化してきています。

インサイト: 最大のリスクは技術でも法律でもない

ユーザーとの信頼関係が静かに崩れていく

Character.AIが直面している5つのリスクは、根っこで全部つながっています。若いユーザーが熱中するから未成年問題が起き、熱中しすぎるから依存が心配され、熱中の源泉であるキャラクターが著作権で消され、消されたユーザーが競合に流れ、その全体を立て直すべき創業者がいない。技術的な課題なら解ける。法律の問題なら弁護士が対処できる。でも「このプラットフォームは自分の居場所だ」と感じていたユーザーの信頼が壊れたら、それを取り戻す方法は誰も知りません。Character.AIの最大のリスクは、ユーザーとの信頼関係が静かに崩れていくことです。

What’s Next

今後の展望

Character.AIが次に狙っている4つの方向

リスクを抱えながらも、Character.AIは次の手を打とうとしています。

🎮

ゲーム会社にAIキャラ技術を売る

ゲーム内でプレイヤーと自由に会話できるAIキャラの技術を、外部企業に提供する「CaaS」をパイロット中。ただし導入企業名も契約規模も非公開で、まだ期待の段階です。現在の収益はサブスク一本(年間推定約5,000万ドル)なので、次の柱が急務です。

🔥

大量削除で離れたユーザーを取り戻す

キャラ大量削除の傷はまだ癒えていません。著作権を守りつつ「自分の創作物は安全だ」と思えるルール作りが、ユーザーを呼び戻す前提条件です。

🧠

創業者なしで次のヒット機能を作れるか

今ある新機能は創業者がいた頃に作られたもの。次の「ユーザーが毎日2時間使いたくなる仕掛け」を誰が考えるのかが課題です。

先に規制対応したことを強みにする

AI規制が厳しくなる中、Character.AIは法律より先に年齢確認義務化やキャラ削除を断行しました。競合がまだ対応していない今、先にコストを払ったことが参入障壁になる可能性があります。

インサイト: Character.AIの本当の賭け——「AIと過ごす時間」は市場になるか

生産性ではなくエンゲージメント時間で勝負するモデルの行方

Character.AIが売っているのは、AIの性能ではありません。「AIと一緒にいる時間」です。ChatGPTが「仕事を速く終わらせる道具」なら、Character.AIは「仕事が終わった後に会いに行く存在」。生産性ではなくエンゲージメント時間で勝負するこのモデルは、サブスク+法人ライセンスという独自路線を切り開けるのか。1日2時間という数字は巨大な可能性ですが、ユーザーの52%が18〜24歳という構造で広告に舵を切れば、未成年保護の問題がさらに複雑になる。収益化の選択肢が、安全性の制約と常にぶつかる——これがCharacter.AI固有のジレンマです。CaaSで法人収益を伸ばせれば、このジレンマを迂回できる可能性がある。だからこそCaaSの成否が、この会社の未来を左右します。

Character.AIは「便利なAI」ではなく「一緒にいたいAI」として設計された、唯一無二のサービスです。ChatGPTが仕事を速く終わらせるための道具なら、Character.AIは仕事が終わった後に会いに行く存在。1日平均2時間という滞在時間は、そのアプローチが確かに人の心を掴んだことを証明しています。「AIの使われ方」を根本から再定義した——それがこの会社の最大の功績です。

しかし2024年8月のアクハイア(Googleによる創業者引き抜き)と、2026年2月のModeratedpocalypse(数千件のキャラクター一斉削除)という2つの激震が、この会社の形を根本から変えてしまいました。Transformerの共同発明者と対話AI設計の専門家が去り、ユーザーの「遊び場」には著作権と安全性のルールが持ち込まれた。残ったのは27億ドルのライセンス料と、2,000万人のユーザーと、法務畑出身の暫定CEOです。

今問われているのは、頭脳を失った会社が「一緒にいたい」と思わせ続けられるかどうかです。2,000万人が毎月このサービスを開く事実は、「人はAIと関係を結びたがっている」という市場が確かに存在することを示しています。でも、その市場を制するのがCharacter.AIなのか、それとも彼らが切り拓いた道を別の誰かが走るのか——その答えはまだ出ていません。

Takeaway

この記事のポイント

  • ユーザーの平均滞在時間は1日2時間——ChatGPT(7〜17分)の10倍以上。AIを「道具」ではなく「居場所」に変えた唯一のサービス
  • ユーザーの52%が18〜24歳。若者文化と深く結びついた結果、未成年保護と心理的依存という爆弾を常に抱えている
  • 2024年8月、Googleが27億ドルで創業者2人だけを引き抜いた(アクハイア)。会社は残ったが、Transformer共同発明者と対話AI設計者という頭脳は消えた
  • 2026年2月のModeratedpocalypseで、Disney・Marvel等の著作権強化により数千件のキャラクターが数時間で使用不能に。ユーザーの「遊び場」に初めてルールが持ち込まれた転換点
  • 創業者2人ともGoogle DeepMindへ復帰済み。今の舵取りは法務畑出身の暫定CEO——プロダクトビジョンの空白を誰が埋めるかが、この会社の最大の未解決問題

— 読了お疲れさまでした。この企業の最新動向は、AI産業通信で随時更新します。


編集部コラム

“役に立たない”から離れられない、という引力について

記事を書いていて一番頭に残ったのは、Moderatedpocalypseのとき、数千件のキャラクターが消えたことに対してユーザーが見せた怒りの質です。「不便になった」ではなく「居場所を奪われた」——あの反応は、SNSのサービス改悪に対する不満とは明らかに温度が違いました。1日2時間AIと話す若者を「依存だ」と切り捨てるのは簡単です。でも、彼らの多くにとってそれは、現実の人間関係では得られなかった安心感を補う場所だったのかもしれません。Character.AIのユーザーの52%が18〜24歳だという事実は、その世代が「役に立つAI」ではなく「一緒にいてくれるAI」を求めていたことを静かに物語っています。Moderatedpocalypseの本質は、モデレーションの失敗ではなく、居場所を奪われた人たちの叫びだったのではないか——そう感じています。

AIキャラクターとの関係は「本物の関係」と呼べるのか。正直に言えば、編集部の中でも答えは出ていません。相手に意識がないことは確かです。でも、ユーザー側が感じる安心や楽しさや喪失感は本物です。「相手が人間じゃないから偽物だ」と言い切れるほど、関係性というものは単純ではないはずです。この問いに向き合わない限り、Character.AIの次の章——安全性と自由のバランス、収益化の方向性、プロダクトの未来像——はどれも宙に浮いたままになります。答えを出すのは、たぶん私たちではなく、毎日2時間をAIと過ごしている2,000万人のユーザーたち自身です。

AI産業通信 編集部

Company Data

基本情報

正式名称 Character.AI(Character Technologies Inc.)
設立 2021年11月
創業者 Noam Shazeer、Daniel De Freitas(2024年8月にGoogle DeepMindへ移籍)
現CEO Dominic Perella(暫定)
本社 米国カリフォルニア州メンロパーク
従業員数 非公開
月間アクティブユーザー 約2,000万人(2026年初頭)
2025年推定年間収益 約5,000万ドル(約75億円)
主な収益源 c.ai+(有料サブスクリプション)、法人向けライセンス
累計調達額 約1.5億ドル(2023年シリーズA)
推定企業価値 約10億ドル(約1,500億円、2023年時点)
主要出資者・関連 a16z(Andreessen Horowitz)、Google(27億ドルの非独占的技術ライセンス契約)
公式サイト https://character.ai
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