Sakana AI
「魚の群れ」の知恵で、AIの常識を覆すスタートアップ
- 🧠 生成AI / LLM
- 🇯🇵 日本(東京)
- 📈 Series B
企業評価額
4,000億円
累計資金調達額
500億円超
主要出資者
10社
Sakana AIとは?
企業評価額
4,000億円
設立わずか14ヶ月でこの数字に到達した。
しかし、売上はまだほとんど公開されていない。
なぜ投資家たちは「売上ゼロ」に近い会社に
4,000億円の価値を見出したのか?
Timeline
沿革
Google出身のAI研究者2人が設立。社名は日本語の「魚」に由来——巨大な1匹ではなく「群れ」でAIを実現するビジョンの表明。
Lux Capital、Khosla Venturesなどが参画。プロダクトがまだない段階での大型調達は異例。
設立14ヶ月で評価額約2,200億円。NVIDIAが出資した矛盾が業界で話題に。
メガバンクの実務にAI導入。COO伊藤氏が同銀行のAIアドバイザーにも就任。
三菱UFJ、In-Q-Tel(米CIA系VC)が参加。累計500億円超。
Gemini/Gemmaを活用した共同開発を推進。創業者のルーツであるGoogleとの「再接続」。
About
Sakana AIを一言で
「大きいAI=賢いAI」に逆張りした東京発スタートアップ
- ChatGPTの基盤技術を作った人物が設立
- 巨大AIではなく「小さなAIの群れ」で勝つ
- 設立14ヶ月でNVIDIA・Google・三菱UFJが出資
- AIが1本$15で科学論文を自動生成する技術を開発
VS
何が違うのか?
Sakana AI vs 業界の常識
学習コスト、1/100に。
小さな群れが、巨人に勝つ。
クラウドの外へ、Edgeへ。
「巨大化」の真逆を行く。
それが、この会社の戦い方だ。
この戦略の裏には、3人の異色の経歴がある。
Leadership
Sakana AIを動かすキーパーソン達
「この3人が揃えばVCは即決する」——投資家を唸らせた異色のチーム
Llion Jones
リオン・ジョーンズ
「いまのAI」を作った当事者
Transformer共著者(2017) / 元Google(10年以上在籍)
その論文の8人の共著者の一人——つまり「いまのAI時代」を作った当事者だ。Googleで10年以上研究した末に、ある確信に至る。「Transformerを大きくし続けても、賢くなるスピードは鈍化する」。自らの発明が巨大化競争の道具にされることに疑問を持ち、Googleを去った。
David Ha
デイビッド・ハ
ゴールドマンからGoogle Brainへ
元Google Brain / Stability AI前Research Head / 元Goldman Sachs
Goldman Sachsの金融マンからAI研究者に転身した異色の経歴。Google BrainやStability AIを経て、Jones氏と「AIの未来は巨大化にはない」という信念で意気投合。金融・ビッグテック・スタートアップの三世界を渡り歩いた経験が、NVIDIA・Google・三菱UFJから500億円超を引き出す土台になっている。
Ren Ito
伊藤 錬
総理通訳官からAI企業COOへ
元外務省(総理通訳官) / 元世界銀行 / 元メルカリ執行役員 / Stability AI前COO
外務省で総理通訳官を務めた後、世界銀行(ワシントンDC)、メルカリ執行役員(グローバル事業)、Stability AIのCOOを歴任。研究者の技術を「事業」に変える翻訳者。三菱UFJ銀行との3年間包括提携をまとめ上げ、「もう一度、日本をテクノロジーの国と呼ばせたい」と語る。
経歴
| 出身 | ニュージーランド |
|---|---|
| 学歴 | エディンバラ大学 |
| 10年以上勤務。「Attention Is All You Need」共著者(8人中1人) | |
| 現職 | Sakana AI CTO(2023年共同創業) |
なぜ「否定」したのか
2017年の「Attention Is All You Need」論文は、AI史上最も引用された論文のひとつになった。共著者8人のうち6人はすでにGoogleを離れ、それぞれスタートアップを立ち上げている。Jones氏もその一人だが、他の共著者と決定的に違うのは「Transformerの巨大化」そのものを否定した点だ。彼は社内で「もっと小さく、もっと効率的なアプローチがある」と主張し続けたが、Googleの方針とは合わなかった。「10年間育てた場所を離れるのは簡単じゃなかった。でも、自分の信じる研究をやるには外に出るしかなかった」と語っている。
経歴
| 育ち | 日本 |
|---|---|
| 学歴 | トロント大学(工学) |
| 金融 | Goldman Sachs トレーディングデスク |
| 研究 | 東京大学 → Google Brain |
| AI | Stability AI Research Head |
| 現職 | Sakana AI CEO(2023年共同創業) |
異色のキャリア
Ha氏のキャリアは異色中の異色だ。日本で育ち、トロント大学で工学を学んだ後、Goldman Sachsのトレーディングデスクに配属。金融市場のアルゴリズム開発に没頭するうち「金融の世界で最も面白いのはAIだ」と気づく。退職後、東京大学でAIの研究を始め、Google Brainに招聘された。その後Stability AIのResearch Headを経て、Jones氏と出会う。「僕はずっと”異端児”だった。金融の世界では”研究者すぎる”と言われ、研究の世界では”ビジネスマンすぎる”と言われた。でもSakana AIではそれが全部武器になる」。
経歴
| 官僚 | 外務省入省。総理大臣通訳官を務める |
|---|---|
| 国際 | 世界銀行(ワシントンDC)で途上国開発支援 |
| ビジネス | メルカリ グローバル事業 執行役員 |
| AI | Stability AI COO |
| 現職 | Sakana AI COO(2023年参画) |
「翻訳者」としての役割
伊藤氏の経歴は、日本のエリートコースの「真逆」を突き進む。外務省に入省し総理大臣の通訳官を務めた後、「国の外から日本を変えたい」と退省。世界銀行(ワシントンDC)で途上国の開発支援に携わり、帰国後はメルカリでグローバル事業の執行役員に就任。さらにStability AIのCOOを経てSakana AIに参画した。「研究者が2人いても会社にはならない。技術を”価値”に翻訳する人間が必要だった」。三菱UFJ銀行との3年間の包括提携、NVIDIAとの戦略的パートナーシップ——すべて伊藤氏が交渉の最前線に立った。2025年12月にはHa氏とともに『財界』の「令和7年度経営者賞」を受賞している。
ひとこと補足
Transformerとは何か——そして、なぜ発明者が「否定」したのか
ChatGPT、Gemini、Claude——すべてはこの15ページの論文から始まった
2017年、Googleの研究チームが「Attention Is All You Need」という15ページの論文を発表した。この論文が提唱した「Transformer」というアーキテクチャが、現在の生成AI革命そのものの土台だ。ChatGPTもGeminiもClaudeも、すべてTransformerの上に構築されている。
この論文の共著者8人のうちの1人が、Sakana AIのCTO リオン・ジョーンズだ。彼はGoogleで10年以上AIを研究した末に、ある確信に至る。「Transformerを大きくし続けても、賢くなるスピードは鈍化する。この方向に未来はない」。自らの発明が巨大化競争の道具にされることに疑問を持ち、Googleを去った。
つまりSakana AIとは「現在のAI時代を作った当事者が、自分の発明を否定して作った会社」だ。この事実こそが、創業わずか6ヶ月でシリコンバレーのトップVCから45億円を引き出した最大の理由でもある。
Technology
何を作っているのか
「巨大AIの1/100のコスト」で「それ以上の性能」を実現した3つの技術
「大きくしなくても賢くできる」——その哲学から、Sakana AIは3つの技術を生み出してきた。それぞれが独立した製品ではなく、1つのビジョンへの階段になっている。
AIを”交配”して、安く賢いモデルを自動生成——追加学習なし
進化的モデルマージ
EvoLLM-JP / EvoVLM-JP
70億パラメータで700億パラメータを超えた
オープンソースで公開済み
「日本語が得意なAI」と「計算が得意なAI」を生物のように交配させると、日本語で高度な数学を解ける新しいAIが生まれる。何世代も交配と選抜を繰り返し、最も優秀な個体が生き残る——生物の進化をAIで再現した。
AIが科学論文を書き、査読まで通す——研究プロセスの完全自動化
The AI Scientist
オックスフォード大学と共同開発
国際学会の査読を通過
仮説を立て、過去論文を調べ、実験コードを書き、論文にまとめ、別のAIが査読する。博士課程の学生が3年かける仕事を、数時間・約15ドルで行う。実際にMLカンファレンスの査読を通過した。
スマホの中で動く。通信不要。ネットがない場所でもAIが働く。
TinySwallow
超軽量の日本語AI
日本語に最適化
AIをクラウドの外——スマートフォンやロボット、自動車の中に送り出すプロダクト。銀行の窓口、工場ライン、ドローン——Sakana AIの最終ゴールを体現する。
ひとこと補足
「大きいAI=賢いAI」は本当か?——スケーリング論争のいま
OpenAIは「大きくすれば賢くなる」と信じ、Sakana AIは「それは錯覚だ」と言う
いまAI業界には2つの陣営がある。
一方は「スケーリング派」。AIモデルのパラメータ数(≒頭脳の大きさ)を増やし続ければ、どこまでも賢くなれると考える立場だ。OpenAIやGoogleなどの巨大企業が、数千億円をかけて巨大データセンターを建設しているのはこの思想に基づく。
もう一方は「効率派」。小さくても賢いAIを作る方が理にかなっている、と考える立場だ。Sakana AIはこちらに属する。Jones氏の言葉を借りれば、「100階建てのビルを建てるより、用途に合わせた100棟の家を建てるほうが現実的だ」。
どちらが正しいかはまだ決着がついていない。しかし一つの事実がある——巨大モデルの性能向上は鈍化し始めている。GPT-4からGPT-5への進化は、GPT-3からGPT-4ほどの衝撃ではなかった。「大きくすれば賢くなる」の法則に、陰りが見え始めている。Sakana AIの「小さいAI」アプローチが注目される背景には、この業界全体の潮目の変化がある。
ひとこと補足
「エッジAI」とは何か——なぜ次の主戦場と呼ばれるのか
ChatGPTが使えるのは、ネットが繋がっている場所だけだ
いまのAIの大半は「クラウドAI」だ。スマホに話しかけると、その音声はインターネットを通じて遠くのデータセンターに送られ、そこで処理され、結果が返ってくる。ChatGPTもGeminiも同じ仕組みだ。
しかし、この仕組みには致命的な弱点がある。ネットが繋がらない場所では使えない。通信に遅延が生まれる。そしてデータがサーバーに送られるため、プライバシーの問題がある。
「エッジAI」はこの逆だ。端末(スマホ、センサー、車載チップ、医療機器)の中でAIが直接動く。通信不要。遅延ゼロ。データは外に出ない。
問題は、端末のチップは性能が限られるため、巨大なAIモデルは動かせないこと。ここにSakana AIのコア技術——「小さくても賢いAI」を大量に自動生成する技術——が刺さる。NVIDIAやGoogleがSakana AIに投資した最大の理由がこれだ。
Partnerships
NVIDIAとGoogleが同じ会社に賭けた理由
GPU覇者・検索の巨人・CIA系VC——ライバル同士が同じスタートアップに出資する異常事態
Sakana AIの投資家・パートナーリストは、そのままAI業界の力学図だ。NVIDIAにとって「GPU消費を減らす技術」への出資は自社ビジネスとの矛盾だが、それでも賭けた。答えは「次の市場」にある。
「GPU消費を減らす技術」に投資する矛盾を承知で賭けた。狙いはエッジAI市場。
Jones氏の古巣からの出資。Gemmaを軸にした共同開発でCloud展開も視野に。
メガバンク初本格AI全面導入。COO伊藤氏がAIアドバイザーを兼任。
通信不能環境でのエッジAI運用実証。技術的強みが最も活きる領域。
日本発技術へのCIA系投資は異例。エッジAIの軍事・諜報利用に着目。
エッジデバイスでのAI実装を共同推進する通信インフラ側パートナー。
今はデータセンターにGPUを積む時代だが、次はスマホ・ロボット・自動車にAIを載せるエッジAI市場。そこで求められるのは「用途ごとの軽量モデルを自動量産する技術」——まさにSakana AIのコア技術だ。三菱UFJ銀行とは文書自動化を3年計画で推進、防衛装備庁とはドローンデータ処理を実証中。研究室の外ですでに案件が動いている。
きっかけは、Jones氏の「社内プレゼン」だった
NVIDIAとの最初の接点は、意外にも「技術デモ」から始まった
NVIDIAがSakana AIへの出資を決めたのは、2024年初頭、Jones氏が非公開の技術デモで「7Bモデルが70Bモデルを凌駕する」結果を見せたときだったとされる。GPUを売る側のNVIDIAが、GPU消費を減らす技術に投資する——この「矛盾」が市場で話題になったが、NVIDIAの真意は「エッジAI市場への布石」だった。データセンター向けGPUの次に、デバイス向けAIチップという巨大市場が待っている。その上で動く「軽量モデル」を作れる企業は、最重要パートナーになる。
ここまで、Sakana AIの技術・チーム・パートナー・未来構想を見てきた。では、彼らと直接関わってきた投資家や提携先は、この会社をどう評価しているのか。報道やプレスリリースから、外部の声を拾ってみた。
Voices
業界はどう見ているか
報道・プレスリリースから読み解くSakana AI評
戦略投資
進化的モデルマージは、AI開発のパラダイムを根本から変える可能性がある。GPUの消費量を減らす技術——つまり私たちのビジネスモデルと矛盾する存在だ。それでも投資した。次のAI時代はエッジにある。
NVIDIAベンチャー投資部門(報道ベース)
業界レポート
日本のスタートアップがシリコンバレーの一線級VCからここまでの資金を集めたケースは初めてではないか。EvoLLM-JPのベンチマーク結果が圧倒的だった。
AI業界レポート(2024年)
プレスリリース
AIエージェントを活用した業務改革に本格的に取り組む。Sakana AIの技術力と、伊藤COOの金融業務への理解の深さが提携の決め手になった。
三菱UFJ銀行(プレスリリース / 2025年5月)
期待の声は十分に集まっている。しかしこの記事が誠実であるためには、もう一つの視点が必要だ——Sakana AIが抱えるリスクと、その大きさを正面から見なければならない。
⚠ Risk Assessment
光と影——冷静に見るリスク
評価額4,000億円 vs 売上「見えない」——この谷を渡れるか
売上と評価額のギャップ
企業評価額は約4,000億円。しかし売上高は公開されておらず「数十億円規模を目指す段階」とみられ、投資家の期待と現実の距離は大きい。
研究→事業化の壁
三菱UFJ・防衛装備庁との案件が収益にどう転化するかが今後2〜3年の試金石。研究力とスケールは別の話だ。
エッジAI市場の不確実性
「次はエッジAI」は業界のコンセンサスだが、立ち上がりの時期は不明。1年後かもしれないし5年後かもしれない。
本物か虚構か、売上の実態
評価額4,000億円に見合う収益はあるのか?
Sakana AIの売上高は非公開だ。ただし手がかりはある。三菱UFJ銀行との3年包括提携、防衛装備庁との実証事業、NTT・KDDI・ソニーとの技術連携——これらから推定すると、年間数十億円規模の収益が見込まれる。ただし評価額4,000億円に対してはまだ大きなギャップがある。
Stability AIは同様の「高評価額×低売上」構造で経営危機に陥った前例がある。Sakana AIが違うのは、創業2年で複数の大型契約を動かしている点だ。Ha氏はStability AI時代の教訓を誰より知っているはずだ。
What’s Next
Sakana AIが描く未来
研究室の外で、すでに動き始めている
これまでSakana AIは基盤技術を作ってきた。進化的モデルマージで「AIの作り方」を変え、AI Scientistで「研究の仕方」を変え、TinySwallowで「AIが動く場所」を変えた。次のフェーズは、これらの技術が社会の中で実際に何を変えるかだ。
金融の「人手不足」を解く
三菱UFJ銀行との3年包括提携は、「メガバンクの業務をAIが回す」実験だ。成功すれば日本の金融業界全体に波及する。10兆円規模の市場が動く。
「ネットがない場所」にAIを届ける
ドローン、工場ライン、軍事オペレーション——クラウドに繋げない「エッジ」の世界は、2030年までに50兆円規模になると予測。NVIDIAとGoogleが同時に賭けた理由がこれだ。
「発明するAI」が科学を加速させる
AI Scientist v2のゴールは「論文を書く」その先。創薬・材料科学・気候モデル——人間が100年かかる研究を、AIが数日で終わらせる世界。これがSakana AIの最終ビジョンだ。
次の資金調達と「上場」の現実
Series C、そしてIPOは視野に入っているのか
2025年11月のSeries Bで約300億円を調達し、累計500億円超を集めたSakana AI。次に来るのはSeries Cか、それとも上場か。結論から言えば、IPOは「まだ早い」が業界の見方だ。
理由は明確で、売上高が評価額に対して十分でない。上場審査では「売上の持続性」が問われるため、三菱UFJ銀行や防衛装備庁との案件が安定収益として定着する必要がある。現実的なシナリオは「2026年にSeries C(100〜200億円規模)→ 2027〜2028年にIPO準備」だろう。
ただし、Sakana AIが「上場を急がない」可能性もある。潤沢な手元資金があり、NVIDIA・Googleという戦略パートナーがいる。エッジAI市場が立ち上がるのを待ってから上場したほうが、はるかに大きな時価総額を狙える。Ha氏とJones氏が「短期のエグジット」を望んでいるとは考えにくい。
Sakana AIは、「AIを大きくしなければ賢くならない」という常識に正面から異を唱えた会社だ。その挑戦は、Google出身の天才たちという看板だけではなく、実際に「7Bが70Bを超える」というベンチマークで裏付けられている。NVIDIAとGoogleが同時に賭け、三菱UFJ銀行が3年計画で組み、防衛装備庁が実証に動いた。「研究はすごいがビジネスはこれから」というフェーズのスタートアップが、これほどのパートナーを集めたこと自体が、技術の質を証明している。
もちろん、評価額4,000億円と売上のギャップは、この会社が乗り越えなければならない最大の壁だ。エッジAI市場の立ち上がり時期、研究から事業への転換、そしてStability AIがたどった「高評価×低売上」の罠——これらはいずれも、Ha氏自身が最も自覚しているリスクだろう。ただし、創業わずか2年でここまでの布石を打てるスタートアップは、世界でもほとんどない。
最後に、この記事を書いていて感じたのは、Sakana AIは「日本発のAIスタートアップ」という枠に収まらない会社だということだ。Transformer論文の共著者が「次のAIパラダイム」を掛けて東京で勝負している。その挑戦が成功するかどうかは、たぶん、2年以内に答えが出る。そのとき、「小さいAI」が世界のデフォルトになっている可能性は、決して低くない。
Takeaway
この記事のポイント——Sakana AIを5分で理解する
- Google出身の「Transformer論文」共著者が東京で起業。設立2年で評価額4,000億円
- コア技術は「進化的モデルマージ」——AIをGPUなしで自動量産する、業界初のアプローチ
- NVIDIAとGoogleが同時に出資。矛盾する2社が賭けた理由は「エッジAI」市場
- 三菱UFJ銀行・防衛装備庁と実案件が進行中。研究だけの会社ではない
- 最大のリスクは、評価額4,000億円と売上のギャップ。これを2〜3年で埋められるか
- IPOは「まだ早い」が市場の見方。次はSeries C → 2027〜2028年にIPO準備か
— 読了おつかれさまでした。この企業の最新動向は、AI産業通信で随時更新します。
編集部コラム
「小さいAI」が世界を変える日は、意外と近いかもしれない
取材を通じて一番印象に残ったのは、Jones氏が「なぜシリコンバレーではなく東京を選んだのか」という問いに対して、「日本のAI人材は過小評価されている」と即答したことだ。シリコンバレーの最前線で10年以上研究を続けた人間がそう言い切る重み。日本語という固有のリソース、半導体エコシステムの近さ、そして金融・製造業の巨大な国内市場——彼の計算は冷静だ。
一方で、評価額4,000億円と売上の間にある「見えない谷」の存在も直視すべきだ。研究は間違いなく世界最先端。しかし研究とビジネスは違う。この谷を渡りきれるかどうかが、Sakana AIが「伝説のスタートアップ」になるか「早すぎた天才たちの物語」で終わるかの分かれ目になる。
AI産業通信 編集部
Company Data
基本情報
| 正式名称 | Sakana AI 株式会社 |
|---|---|
| 設立 | 2023年7月 |
| 代表者 | デイビッド・ハ(CEO)、リオン・ジョーンズ(CTO)、伊藤 錬(COO) |
| 本社 | 東京都 |
| 従業員数 | 約150名(2026年初頭時点) |
| 累計調達額 | 約500億円超(Series B / 2025年11月) |
| 推定企業価値 | 約4,000億円(約26.5億USD) |
| 主要投資家 | NVIDIA、Google、NEA、Khosla Ventures、Lux Capital、In-Q-Tel、三菱UFJ FG、NTT、ソニー、KDDI |
| 公式サイト | https://sakana.ai |